「営業の求人を出しているが応募が来ない」という相談で、最初に待遇の話になることが多いのですが、実際に効いたのは職種の見せ方と媒体の母集団でした。実務でやった打ち手と、その順番を書きます。
まず、採用を営業ファネルとして見る
応募が来ないのか、来ても書類で落ちるのか、面接で辞退されるのか、内定後に来ないのかで、直す場所はまったく違います。
| 段階 | 落ちている場合の主因 | 直す場所 |
|---|---|---|
| 応募が来ない | 職種の見せ方/媒体の母集団 | 求人票・媒体選定 |
| 書類で落ちる | 要件と母集団のズレ | 採用要件/訴求 |
| 面接で辞退される | 仕事内容の期待値ギャップ | 面接での説明・事前情報 |
| 内定後に来ない | 条件・不安の解消不足 | 内定後フォロー |
| 入社後に立ち上がらない | オンボーディング不足 | 初期教育・稼働設計 |
営業のパイプライン管理と同じ発想です。段階別の歩留まりを見て、落ちている1箇所を直す。全部を同時に直そうとすると、どれも中途半端になります。
打ち手①:職種の「営業色」を消す
不人気職種の求人は、職種名と仕事内容の見せ方で応募数が変わります。
携帯ショップの人材募集で、求人票に営業色が強く出ている状態がありました。販売のノルマを想起させる書き方だと、その時点で応募母数が大きく減ります。
その求人の実際の業務は、販売そのものではなく初期設定や操作案内が中心でした。
そこで、営業・販売を前面に出すのをやめ、初期設定・操作案内といった実際の業務内容に寄せて求人を作り直しました。
嘘を書いたわけではありません。実態のうち、どこを前面に出すかを変えただけです。求人票は「盛る」ものではなく、実態の中から応募者にとって正確で魅力的な面を選ぶものです。
打ち手②:媒体は「新しさ」ではなく「母集団の適合」で選ぶ
新規事業の立ち上げに伴う人材採用で、初期に使っていた媒体では十分な応募が集まりませんでした。
当初は主婦層向けの求人媒体を主軸にしていました。そこからIndeedを主軸に切り替えた結果、約2週間で122件の応募、10名の内定という結果になりました。
これは「Indeedという良い媒体を見つけた」という話ではありません。
Indeedは以前から別事業で数年にわたって使っていた既知の媒体です。
本質は、求めていた人材要件と、媒体が抱える母集団がズレていたということ。媒体の良し悪しではなく、自社が採りたい人がどこにいるかの判断です。
同時に、求人タイトル・仕事内容・応募導線もデータに基づいて作り直しています。媒体だけ変えても結果は変わりません。
同じ媒体でも、地方は母集団が薄い
もう一つ、実地で分かったことがあります。同じIndeedでも、地方では応募数がまったく違います。
北海道の地方部(旭川・函館・北見・釧路・帯広など)でアルバイト・業務委託の募集を数年かけて出していましたが、全国と比較すると応募数は圧倒的に少ない状態でした。
地方採用では、都市部と同じ前提で母集団を見積もると必ず外します。媒体を増やす、条件を見直す、あるいは採用そのものに頼らない設計にするか、早い段階で判断が必要です。
雇用形態が変われば、採用は別物になる
正社員・業務委託・アルバイトは、媒体も訴求も面談で見る点も違います。同じやり方は通用しません。
| 雇用形態 | 主な論点 |
|---|---|
| 正社員(中途) | 選考フローの歩留まり/面接での見極め/人材紹介の活用 |
| 業務委託 | カルチャーマッチ/稼働時間の確保/契約リスクの説明 |
| アルバイト・非正規 | 媒体の母集団/コスト制約/地域性 |
業務委託の面談で、契約リスクを説明する
業務委託人材の面談フローには、業務契約に関するリスクの説明を組み込んでいました。
委託契約であるにもかかわらず、実態が指揮命令に近くなると問題になります。これを採用の入口で双方が理解していないと、稼働開始後にトラブルになります。面談は見極めの場であると同時に、前提を揃える場でもあります。
カルチャーマッチが定着率を変える
インサイドセールスの委託メンバー採用では、面談設計でカルチャーマッチを重視しました。結果として、4名採用のうち3名が継続稼働する状態になっています。採用の成否は入社時点ではなく、数ヶ月後に何人残っているかで見るべきです。
採用と育成を分断しない
最後に、いちばん重要な点です。「採用しても立ち上がらない」は採用の問題ではありません。
新規事業での委託人材の採用では、採用と同時に入社後のロードマップを設計しました。具体的には、採用したメンバーがいつ時点でどれくらいのスキルになっているかを定義し、「コールtoアポ2%」といった到達基準に向けてどう立ち上げるかをフローに落としています。
もう一つ入れたのが、応募前に業務説明の動画を見てもらう導線です。応募の前に仕事内容を正確に理解してもらえば、ミスマッチは応募段階で落ちます。面接の工数が減り、入社後の期待値ギャップも減ります。
まとめ
- 採用を営業ファネルとして見て、落ちている1段階を特定する
- 応募が来ないときは、まず職種の見せ方を疑う。実態の中でどこを前面に出すかを変える
- 媒体は「新しさ」ではなく母集団の適合で選ぶ。主婦系→Indeedで約2週間122応募・10名内定
- 地方は同じ媒体でも母集団が薄い。都市部と同じ前提で見積もらない
- 正社員/業務委託/アルバイトは別物。業務委託では契約リスクの説明まで面談に入れる
- 定着率で見る。4名採用→3名継続のように、数ヶ月後の残存で評価する
- 採用と育成を分断しない。到達基準とロードマップを採用時点で設計する
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「採用しても立ち上がらない」は、採用単体の問題ではありません。株式会社HCでは、採用要件の定義、媒体と訴求の再設計、選考フロー、入社後のオンボーディングと初期稼働までを一続きで設計し、現場に実装します。月額30万円〜・初回のオンライン相談は無料です。
顧問の詳細を見る →よくある質問
求人に応募が来ないとき、最初に何を直すべきですか?
職種の見せ方です。特に不人気職種では、職種名と仕事内容の書き方で応募数が大きく変わります。実際の業務内容のうち、応募者にとって正確で魅力的な面を前面に出すよう作り直します。待遇の見直しはその後で構いません。
採用媒体はどう選べばよいですか?
媒体の知名度や新しさではなく、自社が採りたい人材がその媒体の母集団にいるかで判断します。実際に、主婦層向け媒体からIndeedへ切り替えたことで約2週間で122件の応募・10名の内定という結果になりましたが、Indeed自体は以前から使っていた既知の媒体でした。
地方での採用がうまくいきません。
同じ媒体でも地方は母集団が薄いのが実態です。北海道の地方部で数年運用しても、全国と比べて応募数は圧倒的に少ない状態でした。都市部と同じ前提で母集団を見積もらず、媒体の追加、条件の見直し、あるいは採用に頼らない設計への切り替えを早めに判断する必要があります。
業務委託人材の面談では何を確認すべきですか?
カルチャーマッチに加えて、業務委託契約に関するリスクの説明を面談に組み込むことを推奨します。委託契約でありながら実態が指揮命令に近くなると問題になるため、入口で双方の前提を揃えておく必要があります。
採用したのに立ち上がらないのはなぜですか?
採用単体の問題ではなく、入社後の設計が無いためです。採用時点で「いつ時点でどれくらいのスキルに到達しているか」を定義し、そこへ向けたロードマップを用意します。また応募前に業務説明の動画を見てもらう導線を作ると、ミスマッチが応募段階で落ちます。