一人で営業をしていると、うまくいかない理由が「頑張りが足りないから」に見えてしまいます。しかし実際に詰まる箇所は、たいてい3つに絞られます。記録しない・段階が見えない・放置で消える——この3つです。組織の有無とは関係ありません。
一人営業が詰む3つの理由
① 記録しない
一人だと「頭に入っているから大丈夫」になります。実際、10件くらいまでは本当に大丈夫です。問題は30件を超えたあたりから、記憶の中で商談が混ざり始めることです。そして混ざっていることに自分では気づけません。
② 段階が見えない
「今月は調子が悪い」という感覚はあっても、どの段階で落ちているのかが分かりません。アポは取れているのに提案に進まないのか、提案までは行くのに決まらないのかで、直すべき場所は正反対です。
③ 放置で消える
一人だと、誰も「あの件どうなった?」と聞いてくれません。BtoB営業の失注の多くは競合に負けたのではなく、放置されて消えたものです。組織なら上司の詰めが検出装置として機能しますが、一人にはそれがありません。
まず、現在地を出す
改善の前にやることは1つだけです。直近30件の商談を1行ずつ記録する。それだけで現在地が出ます。
記録する項目は最小限で構いません。獲得日/経路/企業名/どこまで進んだか/今のステータス/失注理由/次アクションと期限。これだけあれば、後述の指標はすべて計算できます。
「ちゃんとしたツールを入れてから始めよう」と考えて、そのまま始まらないパターンです。
スプレッドシート1枚で十分です。むしろ自分で列を設計する過程で、自分の営業段階が言語化されます。ツールを先に入れると、この言語化を飛ばしてしまいます。
見る指標は5つだけにする
一人で全KPIを追うのは不可能ですし、追っても直す場所が絞れません。見るのはこれだけです。
| 指標 | 何が分かるか |
|---|---|
| 商談化率 | リストの当たり率 |
| 提案転換率 | 初回商談の質 |
| 受注率 | クロージングの強さ |
| 停滞件数 | 放置による失注予備軍 |
| 経路別商談化率 | どこに時間を寄せるか |
このうち一人営業でいちばん効くのは「停滞件数」です。上司の代わりに、数式に検出させます。ステータスが進行中のまま7日以上動いていない商談を機械的に抽出する。それだけです。
一人にはフィードバックがない、という問題
組織にいれば、同行やロープレや1on1で「そこ、詰めが甘い」と言われます。一人にはこれがありません。
代わりになるのは数字と、自分への問いかけです。週に15分、この4つだけ確認します。
- 商談化率は先週比で上がったか
- 5段階のどこが一番落ちているか(=今週直す1箇所に絞る)
- 停滞している商談に、今日中に次アクションを1つ入れる
- 商談になりやすい経路に時間を寄せる
重要なのは「今週直す1箇所」に絞ることです。一人のリソースで複数箇所を同時に直すことはできません。
続かないのは意志ではなく、設計の問題
この手の管理は、たいてい2週間で止まります。理由は意志の弱さではありません。いつやるかが決まっていないからです。
- 頻度を決める — 毎日ではなく週1回。毎日にすると続きません
- トリガーを決める — 「月曜の朝いちばん」のように、既存の習慣に紐づける
- 時間を決める — 15分。長く見積もると、そもそも着手できなくなります
- 入力を軽くする — 項目を増やしすぎない。入力が重い表は必ず放置される
逆に言えば、この4つを設計すれば続きます。根性は要りません。
一人でやれること・やれないこと
正直に書いておきます。ここまでの型は一人で実装できますが、一人では埋めにくい部分もあります。
- やれる:記録する、現在地を出す、段階別に見る、停滞を検出する、週次で1箇所直す
- やりにくい:自分の型が自分の商材に合っているかの検証、うまくいかない時の原因の切り分け、型のアップデート
後者は、他の人がどうやっているかを知らないと判断がつきません。ここだけは、外から情報を入れる仕組みを持っておくと早くなります。
まとめ
- 一人営業が詰むのは記録しない・段階が見えない・放置で消えるの3つ
- 改善の前に、直近30件を記録して現在地を出す
- 見る指標は5つだけ。一人でいちばん効くのは停滞件数
- 上司の詰めの代わりに、数式に停滞を検出させる
- 続かないのは意志ではなく設計。頻度・トリガー・時間・入力の軽さを決める
- 一人でやりにくいのは、型が自分の商材に合っているかの検証
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一人でもKPI管理は必要ですか?
商談が30件を超えるあたりから必要になります。それ以下なら記憶で足りますが、超えると記憶の中で商談が混ざり始め、しかも混ざっていることに自分では気づけません。まず直近30件を記録して現在地を出すところから始めます。
何件くらいから記録する意味がありますか?
30件が目安です。それだけあれば段階別の歩留まりが計算でき、どこで落ちているかが見えます。逆に10件程度では傾向が読めないため、まず件数を貯めることを優先します。
ツールは何を使えばよいですか?
スプレッドシート1枚で十分です。むしろ自分で列を設計する過程で、自分の営業段階が言語化されます。SFAなどのツールを先に入れると、この言語化を飛ばすことになり、結果として定着しません。
管理が続かないのですが、どうすればよいですか?
意志ではなく設計の問題です。頻度を週1回にする、既存の習慣にトリガーを紐づける、15分で終わる分量にする、入力項目を増やしすぎない。この4つを決めれば続きます。毎日やろうとすると必ず止まります。
一人でも営業の型は作れますか?
記録・現在地の把握・段階別の分析・停滞の検出・週次の改善までは一人で実装できます。やりにくいのは、その型が自分の商材に合っているかの検証と、うまくいかない時の原因の切り分けです。ここは外から情報を入れる仕組みがあると早くなります。