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新規エリアの立ち上げ|地方でゼロから拠点を作るとき、最初にやるのは営業ではない

2026年7月19日執筆:島津 裕太(株式会社HC 代表取締役)

新しいエリアに拠点を作るとき、多くの人はリストを買って営業を始めます。それでは決まりません。最初にやるべきは営業ではなく、地元ネットワークへの参画と関係構築です。実際に踏んだ順序と、認知されるまで約2ヶ月・受注が生まれ始めるまで3〜6ヶ月という実測のタイムラインを書きます。

なぜ、いきなり営業をかけても決まらないのか

既存エリアで通用したやり方をそのまま持ち込んでも、新しい土地では動きません。理由は単純で、あなたが誰なのか、誰も知らないからです。

特に地方では、仕事は「何を売っているか」より先に「誰が言っているか」で判断されます。実績も資料も、その人を知らない相手には届きません。だから最初にやるべきは、商品を売り込むことではなく、自分という人間を認知してもらうことです。

まず、地元の会合に入る

札幌であれば、ロータリークラブ、守成クラブ、飲食領域ならVIBES会といった会合があります。土地ごとにこうした場が必ずあるので、まずそこに入ります。

会合の選び方 — 数より継続

参加率は100%にします。「たまに来る人」と「いつもいる人」では、相手からの見え方がまったく違います。接触頻度そのものが信頼の土台になります。

コストは「回収するもの」ではなく「固定費」

項目金額の目安
入会金・年会費数万円〜10万円前後(このくらいのハードルの会を選ぶことが多い)
都度会費(1次会のみ)5,000円前後
都度会費(最後まで参加)1〜2万円程度
考え方

計算すれば回収は成立します。しかし「投資して回収する」という発想で捉えるべきではありません。

地元で商売をする以上の固定費として捻出する。ROIで判断すると、成果が出るまでの3〜6ヶ月に必ず迷いが生まれます。固定費と決めてしまえば迷いません。

そしてこれは、オフラインビジネスにおいて最強のマーケティング兼営業です。

なぜ会合が「最強」なのか

理由は、酒を挟む席だからです。

通常の商談で到達できる距離には限界があります。どれだけ良い提案をしても、相手との間には「取引先と自分」という線が残ります。ところが酒席では、0距離よりさらに内側まで入ることができます。この距離は、他のどのチャネルでも作れません。

※ただし得手不得手はあります。誰にでも勧められる方法ではない、というのは先に言っておきます。

中心にあるのは、技術ではない

ここからが本題です。以降で具体的な振る舞いを書きますが、それらを手法として実行しても機能しません。

この方法論の核

相手のことを、とことん好きであること。

あだ名で呼んで距離を詰める、という技術ではありません。相手のことが好きすぎて、結果的にそういう振る舞いになってしまう——この順序でなければ意味がありません。

そしてそれは必ず相手に伝わります。逆に、手法として演じていることも同じように伝わります。

心底の人好きになれるかどうか。ここが徹底できれば、うまくいきやすい。

以降に挙げるのは、「相手を好きになった結果として自然に現れるもの」です。順番を逆にしないでください。

結果として現れる4つの振る舞い

① 自分の仕事の話をしない

会合に出ると、多くの人は自分の商売の話をします。名刺を配り、事業を説明する。これをやりません。

やることは逆で、ひたすら相手を知ることです。何をしているのか、何がうまくいっているのか。相手に興味があるなら、自然とそうなります。

② テンションが上がった話題を、とことん掘り下げる

話を聞いていると、相手のテンションが上がる瞬間があります。そこに来たら、その話題を掘り下げまくります。やり方はシンプルです。

これだけで大体掘り下がります。相手にとっては興味のあるトピックなので気持ちよく話してくれるし、こちらは相手の人柄と仕事内容を深く知ることができる。双方に得しかありません。

③ あだ名をつけて、いじる

私は初対面であだ名をつけることにかなりこだわっています。そこからいじり倒すことで、距離が一気に縮まります。実際、上場企業の社長を初対面からあだ名で呼んでいるケースもあります(ご本人の了承済みです)。

※これは酒席限定の技術ではありません。昼間の場でも成立します。

ただし見極めが必要

相手の属性を3つに分けて読みます。

1. やっていい相手 / 2. やってはいけない相手 / 3. 時間をかければいける相手

ここを外すと完全に逆効果です。空気感で判断するしかありません。

ちなみに私はこの見極めを外したことがありませんが、それは特別な才能ではなく、本当に相手に興味があるから、ちゃんと見えているだけだと思っています。技術として判断している人は外します。

④ 買える範囲のものは、即利用する

相手の商品やサービスが自分で買える範囲のものなら、すぐ利用します。「今度使わせてもらいます」で終わらせない。これは「この人は口だけではない」という証明になります。

転換点は「島津さんって何の仕事だっけ?」

これを繰り返していると、まず人として認識され、記憶されます。そしてある時、相手のほうから聞いてきます。

「そういえば、島津さんって何の仕事だっけ?」

ここが転換点です。聞かれた時点で、相手はすでに聞く姿勢になっています。売り込んで作った関心ではなく、相手が自分から持った関心なので、まったく質が違います。

ここで喋りすぎない

やっと聞かれたので、つい語りたくなります。ここで長く話すと、それまでの積み上げが崩れます。

普通にやっていることを、30秒程度でシンプルに話す(体感なので厳密ではありませんが、要はシンプルにということです)。そこから向こうがさらに聞いてくるようなら、もう少し話す

基本はシンプルのみ。これだけです。

タイムライン(実測)

参加率100%を続けた場合

約2ヶ月「何の仕事だっけ?」と聞かれ始める
3〜6ヶ月受注が生まれ始める
以降紹介が生まれる

そこまで到達すれば、あとは早い。紹介も生まれ始めます。逆に言えば、最初の2ヶ月は何も起きません。ここで焦って売り込みを始めると、それまでが無駄になります。

正直に言っておくこと

この方法は、常にうまくいくわけではありません。

側から見ると距離感がバグっているので、引いたり怒ったりする人も一定数います。すごい人や尊敬している人に対しても同じ態度を取るからです。直近でも2回ありました。

ただ、気にしていても仕方ありません。そもそも自分と合わない相手だということなので、そこは割り切ります。強いて言えば、謝ったほうがいい場面なら、その人にはきちんと謝る。それだけです。

向いていない人

この方法の核は「相手を心底好きになれること」です。裏を返せば、人に興味を持てない人には機能しません。

技術として真似することはできますが、演じていることは相手に伝わります。手順だけをなぞっても結果は出ません。

まとめ

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よくある質問

新しいエリアで拠点を立ち上げるとき、最初に何をすべきですか?

営業ではなく、地元ネットワークへの参画と関係構築です。地方では「何を売っているか」より先に「誰が言っているか」で判断されるため、まず自分という人間を認知してもらう必要があります。地元の会合に参加率100%で通い続けることから始めます。

会合はいくつ参加すべきですか?

数より継続が重要です。まず1つの会合に、2次会・3次会も含めて参加し続けることを推奨します。慣れていない場合は1つから始めるほうがストレスが低く続きます。余裕が出てきたら3つ程度まで広げる形が現実的です。

会合に参加してから成果が出るまで、どれくらいかかりますか?

参加率100%を続けた場合、約2ヶ月で相手のほうから「何の仕事をしているのか」と聞かれ始めます。受注が生まれ始めるのは3〜6ヶ月程度です。最初の2ヶ月は何も起きませんが、そこで焦って売り込むとそれまでの積み上げが崩れます。

会合の費用はどう考えればよいですか?

入会金・年会費で数万円〜10万円前後、都度会費は1次会のみで5,000円前後、最後まで参加すると1〜2万円程度が目安です。回収を計算することもできますが、「地元で商売をする以上の固定費」として捉えることを推奨します。ROIで判断すると成果が出るまでの3〜6ヶ月に迷いが生まれるためです。

会合で自分の仕事の話はしないのですか?

基本的にしません。ひたすら相手を知ることに徹します。相手から「何の仕事?」と聞かれたときに初めて、30秒程度でシンプルに答えます。そこからさらに聞かれれば話しますが、長く語るとそれまでの積み上げが崩れます。

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島津 裕太(株式会社HC 代表取締役)

大手通信キャリアで光回線の個人営業実績 全国1位。人材紹介会社の東日本統括責任者として担当拠点の月商を約9倍へV字回復。BPO事業のインサイドセールス責任者として商談化率を15%台から月次30%超へ引き上げる。現在は株式会社HCとして、インサイドセールスの立ち上げ・営業組織づくりを「実装まで」支援している。