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営業パイプライン管理をスプレッドシートで作る|列設計と週次ダッシュボード

2026年7月19日執筆:島津 裕太(株式会社HC 代表取締役)

営業の案件管理をスプレッドシートで作ろうとして、まず手が止まるのが列の設計です。ここを間違えると、入力は続いても数字が読めない表ができあがります。実際に運用している列設計、自動計算すべき3列、週次で見る5つの指標を公開します。

SFAの前に、まずスプレッドシートで作る理由

SFAを入れても定着しない組織は珍しくありません。理由の多くは、そもそも自社の営業プロセスが定義されていないままツールを入れるからです。

スプレッドシートには「自分で設計しないと動かない」という制約があります。この制約が逆に効きます。どの段階を持つのか、何をもって次に進んだとするのかを決めないと、表が完成しないからです。この定義さえできていれば、あとからSFAに移しても機能します。順序が逆だと機能しません。

商談ログの列設計

1商談=1行で記録します。最低限これだけあれば、後述の指標はすべて算出できます。

項目例・選択肢
A商談ID連番
B獲得日2026-07-01
Cリード獲得経路紹介 / DM / 問合せ / 広告 / イベント
D企業名○○商事
E担当役職担当 / 課長 / 部長 / 役員 / 代表
Fステージ(最高到達)01リード / 02商談化 / 03提案 / 04クロージング / 05受注
Gステージ更新日2026-07-10
Hステータス進行中 / 受注 / 失注
I想定金額300,000
J失注理由予算 / 決裁 / タイミング / 競合 / 価値不明 / 音信不通
K次アクション見積提出
L次アクション期限2026-07-15

必ず自動計算にする3列

手入力にしてはいけない列が3つあります。ここを人が更新する運用にすると、必ず止まります。

なぜ停滞フラグが最重要か

BtoB営業の失注の多くは、競合に負けたのではなく、放置されて消えたものです。

「負けた」商談は記憶に残りますが、「なんとなく連絡が途切れた」商談は記憶にも記録にも残りません。だからこそ、動いていないことを機械的に検出する列が要ります。ここが管理表の中で一番効きます。

設計のキモ:ステージは「最高到達段階」で記録する

ステージ列には現在の状態ではなく、そこまで到達した最高段階を入れます。勝敗は別列(ステータス)で持ちます。

理由は単純で、「現在の状態」で持つと失注した瞬間にどこまで進んでいたかが消えるからです。提案まで行って失注したのか、商談化した直後に消えたのかで、直すべき場所はまったく違います。最高到達段階で持てば、どの段階で失注が多いかが見えます。

週次ダッシュボードで見るのは5つだけ

指標を増やすほど、どこを直せばいいか分からなくなります。見るのはこれだけです。

指標定義何が分かるか
商談化率商談化に至ったリード ÷ リード総数リストの当たり率
提案転換率提案到達 ÷ 商談化初回商談の質
受注率受注 ÷ 提案到達クロージングの強さ
停滞件数停滞フラグの数放置による失注予備軍
経路別商談化率経路ごとの商談化率どこに時間を寄せるか

割り算はすべてIFERROR(…,0)で囲みます。分母がゼロの時にエラーが並ぶと、それだけで見なくなるからです。

注意:商談化率には「2つの軸」がある

ここが最も誤解されます。同じ「率」でも、架電日ベースで数えるか、リード流入日ベースで数えるかで意味がまったく違います。

上のダッシュボードはリード流入日ベース(1リード最大1)で数える設計です。この軸だと商談化率は最大100%になります。一方、コール活動の効率を見る軸では通電もアポも延べで積み上がるため、通電率が100%を超えることがあります。異常値ではありません。

この2軸を混ぜると、打ち手の宛先(架電メンバーなのか、マーケティングなのか)を間違えます。詳しくは 通電率とアポ率の違い|同じ「率」でも軸が2つある に書きました。

週15分の運用に落とす

  1. 商談化率は先週比で上がったか(トレンド)
  2. 5段階のどこが一番落ちているか(=今週直す1箇所に絞る)
  3. 停滞フラグの商談に、今日中に次アクションを1つ入れる
  4. 経路別で商談になりやすい経路に時間を寄せる

この4つ以外はやりません。管理表は作った後に見なくなるのが最大の失敗なので、運用は短くします。

まとめ

Self-serve Kit

この設計を実装済みのスプレッドシートで配布しています

本記事の列設計・自動計算・週次ダッシュボードをそのまま実装したテンプレート(xlsx/Googleスプレッドシートで利用可)を、商談文面テンプレ集・AIプロンプト集とあわせて「商談化率2倍キット」として配布しています。買い切り¥9,800・ミーティング不要で完結します。

キットの詳細を見る →

よくある質問

営業のパイプライン管理はスプレッドシートで十分ですか?

商談が複数回の接点を経て決まるBtoB営業であれば、まずスプレッドシートで十分です。むしろSFAを入れる前に、自社の営業段階と「何をもって次に進んだとするか」を定義する必要があります。定義ができていないままツールを入れても定着しません。

商談管理表に最低限必要な列は何ですか?

獲得日、リード獲得経路、企業名、担当役職、ステージ(最高到達)、ステージ更新日、ステータス、想定金額、失注理由、次アクションと期限です。これに加えて、ステージ番号・経過日数・停滞フラグの3列を自動計算にします。

停滞は何日で判定すべきですか?

運用しているのは7日(1週間)です。ステータスが進行中で、ステージ更新日から7日以上動いていない商談を機械的に抽出します。日数は商材の検討期間に応じて変えて構いませんが、重要なのは人の記憶ではなく数式で検出することです。

ステージを「現在の状態」ではなく「最高到達段階」にするのはなぜですか?

現在の状態で持つと、失注した瞬間にどこまで進んでいたかが記録から消えるためです。提案まで到達して失注したのか、商談化直後に消えたのかで、直すべき箇所はまったく違います。勝敗はステータス列で別に持ちます。

商談化率が100%を超えることはありますか?

リード流入日ベース(1リード最大1として数える軸)であれば最大100%です。一方、架電日ベースで延べ件数を数える軸では、同じリストに複数回架電するため通電率などが100%を超えることがあります。異常値ではなく、軸が違うだけです。

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島津 裕太(株式会社HC 代表取締役)

大手通信キャリアで光回線の個人営業実績 全国1位。人材紹介会社の東日本統括責任者として担当拠点の月商を約9倍へV字回復。BPO事業のインサイドセールス責任者として商談化率を15%台から月次30%超へ引き上げる。現在は株式会社HCとして、インサイドセールスの立ち上げ・営業組織づくりを「実装まで」支援している。