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通電率とアポ率の違い|同じ「率」でも軸が2つある

2026年7月19日執筆:島津 裕太(株式会社HC 代表取締役)

「通電率が100%を超えているのですが、計算が間違っていますか?」と聞かれることがあります。間違っていません。営業指標には性質の違う2つの軸があり、片方の軸では100%を超えるのが正常です。ここを混ぜたまま議論すると、改善の宛先を間違えます。

なぜ2つの軸が必要なのか

インサイドセールスの数字が悪いとき、原因は大きく2つに分かれます。

この2つは改善を依頼する相手が違います。ところが指標を1本で持っていると、数字が悪いときに「架電が足りない」で終わってしまい、リードの質の問題が放置されます。だから軸を分けます。

軸① 架電日ベース・延べ(コール活動の効率)

改善の宛先:架電メンバー

ここが誤解のもと

同じリストに何度も架電するため、通電数もアポ数も「延べ」で積み上がります。

結果として通電率は100%を超えることがあります。1件のリードに3回かけて3回つながれば、そのリードだけで通電3件です。これは異常値ではなく、この軸の定義上そうなります。

この軸は全体と個人別の2階層で持ちます。全体で施策を決め、個人別でコーチング対象を決めるためです。

軸② リード流入日ベース・ユニーク(リードの質)

改善の宛先:マーケティング

1リードは何回架電しても最大1として数えます。だから100%を超えません。この軸はリストの当たり率を表します。架電者の腕に依存しないため、全体のみで持ちます。

広告の種別や流入経路を紐づけておけば、どの経路のリードが商談になりやすいかが分かり、マーケ施策の評価に使えます。

両軸に持つ指標:商談実施率とキャンセル率

商談実施率 = 商談実施数 ÷ アポ数。キャンセル率はその裏返しです。

キャンセルが増えたときは、要因を2つに切り分けます。

要因中身直す場所
IS起因日程の詰めが甘い/価値づけ不足/リマインド不足インサイドセールス
リード起因そもそも温度が低い/対象がズレているマーケティング(リードを戻す)

この切り分けをせずに「キャンセルが多いからリマインドを増やそう」とやると、リード起因の問題に対して延々とISの工数を投下することになります。

成約率をISの評価に使ってはいけない理由

成約率はフィールドセールスの力量に大きく依存します。したがって全体の成約率でISを評価することはできません。

ただし例外があります。IS個人別で成約率に差が出る場合、それはアポイントの質のシグナルです。ヒアリングの深さ、期待値の作り方、決裁者を押さえたかどうかが効いています。全体では使えないが、個人別では意味がある指標です。

集計の時間軸を間違えない

軸①は架電日ベース、軸②はリード流入日ベースで集計します。

リードは流入したその日に架電が完結するとは限らず、何日もかけて追われます。そのためリードの質を架電日で集計すると、複数日の架電結果が混ざって実態がぼやけます。「7月に流入したリードが、最終的にどうなったか」を見たいなら、流入日で束ねる必要があります。

管理表の作り方

構造はシンプルです。行=指標(数と率)/列=日付の日次表を、軸ごとに1枚ずつ持ちます。

これを分けずに1枚で持とうとすると、必ずどちらかの定義が壊れます。

まとめ

なお、公開している「商談化率を15%台から月次30%超(最高35%超)へ改善した」という数値は、軸②(リード流入日ベース)の数字です。実際の管理表の作り方は 営業パイプライン管理をスプレッドシートで作る に書いています。

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よくある質問

通電率が100%を超えるのはなぜですか?

架電日ベースで延べ件数を数える軸では、同じリードに複数回架電するため通電数が積み上がるからです。1件のリードに3回かけて3回つながれば通電3件と数えます。定義上そうなるもので、計算ミスではありません。リード単位(ユニーク)で数える軸では100%を超えません。

通電率とアポ率はどちらの軸で見るべきですか?

目的によります。架電メンバーのコール活動を改善したいなら架電日ベース(延べ)、リードの質やマーケ施策を評価したいならリード流入日ベース(ユニーク)です。両方を持ち、数字が悪いときにどちらの問題かを切り分けます。

商談化率の正しい計算式は何ですか?

リード流入日ベースであれば「アポに至ったリード数(1リード最大1)÷ リード数」です。1リードは何回架電しても最大1として数えるため、最大100%になります。これはリストの当たり率を表す指標です。

キャンセル率が高いときは何から手を付けるべきですか?

まずIS起因かリード起因かを切り分けます。日程の詰め・価値づけ・リマインド不足であればIS側、そもそも温度が低い・対象がズレているならリード側の問題で、マーケティングに戻す必要があります。切り分けずにリマインドだけ増やすと工数が無駄になります。

成約率でインサイドセールスを評価してよいですか?

全体の成約率での評価は適切ではありません。フィールドセールスの力量に大きく依存するためです。ただしIS個人別で成約率に差が出る場合は、ヒアリングの深さや決裁者を押さえたかなど、アポイントの質のシグナルとして意味があります。

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島津 裕太(株式会社HC 代表取締役)

大手通信キャリアで光回線の個人営業実績 全国1位。人材紹介会社の東日本統括責任者として担当拠点の月商を約9倍へV字回復。BPO事業のインサイドセールス責任者として商談化率を15%台から月次30%超へ引き上げる。現在は株式会社HCとして、インサイドセールスの立ち上げ・営業組織づくりを「実装まで」支援している。